回収可能型下大静脈フィルターの長期留置により無症候性十二指腸穿孔を来した1 例
要旨:急性肺血栓塞栓症に対し,急性期の一定期間,再発予防目的で回収可能型フィルターを使用することが多い.しかしながらフィルターを抜去せず,そのまま永久留置されることがあり,晩期合併症につながる可能性がある.症例は41 歳男性で,他院で下肢深部静脈血栓症,肺動脈塞栓症に対して下大静脈フィルター(inferior vena cava filter; IVC filter)が留置された.留置後ワーファリンを服用し,深部静脈血栓症再発は認めていなかった.1 年半後,定期的上部消化管内視鏡検査を行ったところ,偶然に十二指腸壁内に突出する異物を発見された.CT 検査では,IVC フィルターの脚部フックがI...
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Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 729 - 732 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
2014
日本血管外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.13-00090 |
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Summary: | 要旨:急性肺血栓塞栓症に対し,急性期の一定期間,再発予防目的で回収可能型フィルターを使用することが多い.しかしながらフィルターを抜去せず,そのまま永久留置されることがあり,晩期合併症につながる可能性がある.症例は41 歳男性で,他院で下肢深部静脈血栓症,肺動脈塞栓症に対して下大静脈フィルター(inferior vena cava filter; IVC filter)が留置された.留置後ワーファリンを服用し,深部静脈血栓症再発は認めていなかった.1 年半後,定期的上部消化管内視鏡検査を行ったところ,偶然に十二指腸壁内に突出する異物を発見された.CT 検査では,IVC フィルターの脚部フックがIVC 壁を穿破し,十二指腸に穿通していた.下血などの消化管出血は認められなかったが,放置すれば致命的な出血を来す危険性があり,開腹下に,IVC フィルターを摘出した. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.13-00090 |