術中ICG蛍光法での血流評価により一期的切除吻合術を行い得たNOMIの1例

非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)に対して術中ICG(indocyanine green)蛍光法による血流評価を行い,一期的手術により救命できた症例を経験したので報告する。症例は71歳男性。主訴は腹痛,嘔吐。来院時造影CTで小腸壁の造影不良,壁内気腫を認め,NOMIを疑い緊急開腹手術を施行した。Treitz靭帯より肛門側に約200cmから270cmの範囲で小腸の漿膜が,非連続性に黒色変化しており,壊死を疑う所見を認めた。ICG蛍光法を用いて観察を行うと,肉眼的に認められた色調変化を伴う腸管壊死範囲よりも口側にさらに20cm,...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 513 - 516
Main Authors 岩田, 萌, 堀部, 文倫, 池本, 圭一, 杉下, 敏哉, 丹羽, 由紀子, 中澤, 匡男, 片桐, 聡, 毛利, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.513

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Summary:非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)に対して術中ICG(indocyanine green)蛍光法による血流評価を行い,一期的手術により救命できた症例を経験したので報告する。症例は71歳男性。主訴は腹痛,嘔吐。来院時造影CTで小腸壁の造影不良,壁内気腫を認め,NOMIを疑い緊急開腹手術を施行した。Treitz靭帯より肛門側に約200cmから270cmの範囲で小腸の漿膜が,非連続性に黒色変化しており,壊死を疑う所見を認めた。ICG蛍光法を用いて観察を行うと,肉眼的に認められた色調変化を伴う腸管壊死範囲よりも口側にさらに20cm,肛門側にさらに10cmの領域で蛍光発光が不十分であった。この所見に基づき,100cmの腸管を切除し,残存腸管を機能的端々吻合した。術後は再虚血を疑わせる所見はなく経過良好で術後30日目に退院となった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.513