膵・胆管合流異常症に合併した異時性胆嚢・膵重複癌の1例

症例は65歳の女性で,61歳時に胆道出血を契機に発見された膵・胆管合流異常症に合併した胆嚢癌に対して肝S4a+5切除,肝外胆管切除術(pT2N0M0 stage II)を施行した.術後補助化学療法は行わなかった.術後3年目の定期検査で腫瘍マーカーの上昇と,腹部CTおよびMRIで膵尾部に20mm大の腫瘤性病変を認めた.異時性の膵尾部癌と診断し,手術を行った.腹腔内を検索すると,膵尾部に漿膜に露出する腫瘤を認めた.腹水や肝転移はなかったが,大網と横行結腸近傍に結節性病変を認めた.大網の病変の病理組織学的検査から膵癌の腹膜播種と診断し,非切除とした.術後から化学療法を開始したが,術後13カ月目に原疾...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 5; pp. 955 - 959
Main Authors 小林, 真一郎, 山口, 竜三, 渡邊, 真哉, 古田, 美保, 岩田, 力, 會津, 恵司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.955

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Summary:症例は65歳の女性で,61歳時に胆道出血を契機に発見された膵・胆管合流異常症に合併した胆嚢癌に対して肝S4a+5切除,肝外胆管切除術(pT2N0M0 stage II)を施行した.術後補助化学療法は行わなかった.術後3年目の定期検査で腫瘍マーカーの上昇と,腹部CTおよびMRIで膵尾部に20mm大の腫瘤性病変を認めた.異時性の膵尾部癌と診断し,手術を行った.腹腔内を検索すると,膵尾部に漿膜に露出する腫瘤を認めた.腹水や肝転移はなかったが,大網と横行結腸近傍に結節性病変を認めた.大網の病変の病理組織学的検査から膵癌の腹膜播種と診断し,非切除とした.術後から化学療法を開始したが,術後13カ月目に原疾患にて死亡した.膵・胆管合流異常症は胆管癌の高リスク群とされる一方で,膵癌との合併報告は少ない.膵・胆管合流異常症において胆道癌に加え,異時性の膵癌が発生した1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.955