腹腔鏡下に切除した虫垂真性憩室を伴う虫垂憩室炎の1例

症例は70歳,男性。嘔吐,下痢,右下腹部痛を主訴に当院を受診し,造影CTで腫大した虫垂と虫垂憩室を認めた。憩室穿孔に伴う重症化リスクを考慮して準緊急で腹腔鏡下虫垂切除術の方針とした。術中所見では虫垂に複数の憩室が散見され,自動縫合器で虫垂根部を切除し虫垂を摘出した。術後病理組織学的検査では複数の真性憩室と,憩室および虫垂壁内にリンパ球や形質細胞が主体の炎症細胞浸潤を認め,虫垂真性憩室を伴う虫垂憩室炎と診断した。虫垂憩室は比較的まれな疾患で,そのほとんどは仮性憩室であり真性憩室の頻度は非常にまれである。穿孔や膿瘍形成などの重症化リスクが高い点や,虫垂腫瘍との鑑別を要する点を考慮し,手術適応を含め...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 619 - 622
Main Authors 須田, 光太郎, 内藤, 慶, 佐野, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.619

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Summary:症例は70歳,男性。嘔吐,下痢,右下腹部痛を主訴に当院を受診し,造影CTで腫大した虫垂と虫垂憩室を認めた。憩室穿孔に伴う重症化リスクを考慮して準緊急で腹腔鏡下虫垂切除術の方針とした。術中所見では虫垂に複数の憩室が散見され,自動縫合器で虫垂根部を切除し虫垂を摘出した。術後病理組織学的検査では複数の真性憩室と,憩室および虫垂壁内にリンパ球や形質細胞が主体の炎症細胞浸潤を認め,虫垂真性憩室を伴う虫垂憩室炎と診断した。虫垂憩室は比較的まれな疾患で,そのほとんどは仮性憩室であり真性憩室の頻度は非常にまれである。穿孔や膿瘍形成などの重症化リスクが高い点や,虫垂腫瘍との鑑別を要する点を考慮し,手術適応を含めた適切な治療方針の選択が求められる。腹腔鏡下に切除した虫垂真性憩室を伴う虫垂憩室炎の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.619