下腿静脈性潰瘍として長期間治療されていた混合性潰瘍に対し坐骨動脈–前脛骨動脈バイパス術が奏功した1症例

不完全型遺残坐骨動脈に伴う下腿の混合性潰瘍に対し,動静脈瘻化し拡張させた上肢静脈にて遺残坐骨動脈遠位–前脛骨動脈バイパス手術を施行し良好な結果を得た.症例は65歳男性.20年前右下肢深部静脈血栓症の診断にて永久下大静脈フィルターを挿入された後,左下腿潰瘍が出現した.鬱滞性潰瘍と診断され,下肢静脈瘤治療,圧迫療法にて長期経過観察されたが潰瘍は改善しなかった.不完全型遺残坐骨動脈を伴う閉塞性動脈硬化症が指摘され,混合性潰瘍の可能性を考慮し手術を施行した.自家静脈グラフトとして下肢表在静脈は静脈瘤治療により消失しており,上肢静脈を使用した.上肢静脈は細く動静脈瘻を作成し静脈を拡張させた後,グラフトと...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 259 - 263
Main Authors 市野瀬, 剛, 光岡, 明人, 志村, 智恵子, 中村, 浩志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 15.09.2024
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.24-00045

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Summary:不完全型遺残坐骨動脈に伴う下腿の混合性潰瘍に対し,動静脈瘻化し拡張させた上肢静脈にて遺残坐骨動脈遠位–前脛骨動脈バイパス手術を施行し良好な結果を得た.症例は65歳男性.20年前右下肢深部静脈血栓症の診断にて永久下大静脈フィルターを挿入された後,左下腿潰瘍が出現した.鬱滞性潰瘍と診断され,下肢静脈瘤治療,圧迫療法にて長期経過観察されたが潰瘍は改善しなかった.不完全型遺残坐骨動脈を伴う閉塞性動脈硬化症が指摘され,混合性潰瘍の可能性を考慮し手術を施行した.自家静脈グラフトとして下肢表在静脈は静脈瘤治療により消失しており,上肢静脈を使用した.上肢静脈は細く動静脈瘻を作成し静脈を拡張させた後,グラフトとして使用した.手術後潰瘍は治癒した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.24-00045