深部静脈血栓症診断における新年齢調整Dダイマーカットオフ値の検討

Dダイマー検査は深部静脈血栓症(以下DVT)の除外診断に有用とされているが,高齢者では特異度が低いことから有用性の低下が指摘されている.今回DVTの疑いでDダイマー検査および超音波検査ないしCT検査を施行した45–94歳の1,657人を対象に,10歳ごとに5群に分け各群のROC曲線解析で得られた至適Dダイマーカットオフ値の単回帰解析から,新年齢調整Dダイマーカットオフ値を年齢×0.03 µg/mLと決定した.従来の基準値(1.0 µg/mL以下)と比較して,感度は100%から96.3%へ有意な変化なく,特異度は64.7%から96.6%へ有意に増加し,カットオフ値以下の患者数割合は65.8%から...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in静脈学 Vol. 36; no. 1; pp. 25 - 32
Main Authors 戸島, 雅宏, 大口, 昭英, 安藤, 大河
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 06.03.2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.24-16

Cover

More Information
Summary:Dダイマー検査は深部静脈血栓症(以下DVT)の除外診断に有用とされているが,高齢者では特異度が低いことから有用性の低下が指摘されている.今回DVTの疑いでDダイマー検査および超音波検査ないしCT検査を施行した45–94歳の1,657人を対象に,10歳ごとに5群に分け各群のROC曲線解析で得られた至適Dダイマーカットオフ値の単回帰解析から,新年齢調整Dダイマーカットオフ値を年齢×0.03 µg/mLと決定した.従来の基準値(1.0 µg/mL以下)と比較して,感度は100%から96.3%へ有意な変化なく,特異度は64.7%から96.6%へ有意に増加し,カットオフ値以下の患者数割合は65.8%から92.0%へ有意に増加し高齢者ほど増加率が高い結果であった.高齢者の深部静脈血栓症診断において,新年齢調整Dダイマーカットオフ値は安全性を低下することなくDダイマー検査の有用性を向上できると考えられた.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.24-16