悪性腫瘍患者に発症した静脈血栓塞栓症の特徴と予後因子の検討

【はじめに】悪性腫瘍患者の予後改善に伴い静脈血栓塞栓症(VTE)を発症する患者も増加してきており,悪性腫瘍患者に発症したVTE患者の予後や特徴を検討した.【対象と方法】2005年4月から2018年3月に経験したVTE 725人中活動性悪性腫瘍を合併していた患者(CAT)322人を,悪性腫瘍非合併患者(nonCAT)403人と比較した.【結果】性別はCAT 女性156人・男性166人,nonCAT 女性132人・男性271人であった.深部静脈血栓症(DVT)部位は中枢型,末梢型の頻度において差を認めなかったが,左・右・両側で分けるとCATでは両側症例が多い傾向があった.CATでは有意に無症状DV...

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Published in静脈学 Vol. 31; no. 3; pp. 153 - 159
Main Authors 露木, 肇, 山本, 尚人, 海野, 直樹, 犬塚, 和徳, 佐野, 真規, 片橋, 一人, 矢田, 達朗, 嘉山, 貴文, 山中, 裕太, 遠藤, 佑介, 竹内, 裕也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 25.12.2020
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Summary:【はじめに】悪性腫瘍患者の予後改善に伴い静脈血栓塞栓症(VTE)を発症する患者も増加してきており,悪性腫瘍患者に発症したVTE患者の予後や特徴を検討した.【対象と方法】2005年4月から2018年3月に経験したVTE 725人中活動性悪性腫瘍を合併していた患者(CAT)322人を,悪性腫瘍非合併患者(nonCAT)403人と比較した.【結果】性別はCAT 女性156人・男性166人,nonCAT 女性132人・男性271人であった.深部静脈血栓症(DVT)部位は中枢型,末梢型の頻度において差を認めなかったが,左・右・両側で分けるとCATでは両側症例が多い傾向があった.CATでは有意に無症状DVT/PTEが多かった.CAT群でVTE診断後の全生存を比較すると,D-dimer高値(6 µg/mL以上)はCAT発症時の転移・再発の存在と同様有意な予後不良の予測因子であった.【考察】CAT患者ではさまざまなVTEの要因が予後予測因子となっており,悪性腫瘍診療においてCATは重要である.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.20-15