腹部ステントグラフト内挿術後のII型エンドリークに対する開腹分枝閉鎖瘤縫縮術の検討

【目的】EVAR後のII型ELは瘤径拡大や瘤破裂の原因となるため治療介入が必要であるが,治療方針についてコンセンサスは得られていない.当院で開腹分枝閉鎖瘤縫縮術(BACA)を施行した症例を後方視的に評価した.【方法】2012年2月から2022年8月までに当院でEVARを施行した151例のうち,遠隔期にII型ELを認め,術前瘤径より5 mm以上拡大したものに再治療を行い,11例にBACAを行った.【結果】再治療時の年齢は75.6±4.4歳,再治療までの期間は49.7±16.2カ月であった.4例に部分人工血管置換術を併施し,手術時間183±37分,出血量262±164 mLであった.全例で誤嚥性肺...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 339 - 343
Main Authors 坂井, 亜依, 宮津, 克幸, 池田, 真浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 16.09.2023
日本血管外科学会
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Summary:【目的】EVAR後のII型ELは瘤径拡大や瘤破裂の原因となるため治療介入が必要であるが,治療方針についてコンセンサスは得られていない.当院で開腹分枝閉鎖瘤縫縮術(BACA)を施行した症例を後方視的に評価した.【方法】2012年2月から2022年8月までに当院でEVARを施行した151例のうち,遠隔期にII型ELを認め,術前瘤径より5 mm以上拡大したものに再治療を行い,11例にBACAを行った.【結果】再治療時の年齢は75.6±4.4歳,再治療までの期間は49.7±16.2カ月であった.4例に部分人工血管置換術を併施し,手術時間183±37分,出血量262±164 mLであった.全例で誤嚥性肺炎や創部感染,離開などの術後合併症を認めなかった.再治療後の観察期間19.2±9.5カ月において全例で瘤径は縮小傾向にあり,瘤関連死亡を認めていない.【結論】BACAを施行し良好な短期成績を得た.中長期成績については今後症例の集積と検討が必要であるが,再治療症例の患者背景を考慮すると本術式は有用であると考える.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00054