PTEの発症予防を目的とした当院DVT予防プロトコルと,その運用を支えるDVT予防チーム活動の有用性
われわれは,肺塞栓症(PTE)の院内発症回避を目的に,多職種からなる深部静脈血栓症(DVT)予防チームを結成後,DVT予防プロトコルを策定し,全診療科にて運用した.当院のプロトコルは,16歳以上の患者の入院当日に看護師がWell’s score for DVTを用いてDVTの臨床的可能性を判定することから始まり,Well’s score≧2点(高確率)ならDVTを精査し,Well’s score≦1点(低確率)ならDVT発症リスク評価を行った後に予防対策を行う.プロトコル運用前後の9カ月間,約3,000名の患者を対象に後ろ向きに調査した結果,DVT診断率は運用前0.06% vs運用後0.56%...
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Published in | 静脈学 Vol. 30; no. 3; pp. 285 - 293 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本静脈学会
25.09.2019
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Subjects | |
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Summary: | われわれは,肺塞栓症(PTE)の院内発症回避を目的に,多職種からなる深部静脈血栓症(DVT)予防チームを結成後,DVT予防プロトコルを策定し,全診療科にて運用した.当院のプロトコルは,16歳以上の患者の入院当日に看護師がWell’s score for DVTを用いてDVTの臨床的可能性を判定することから始まり,Well’s score≧2点(高確率)ならDVTを精査し,Well’s score≦1点(低確率)ならDVT発症リスク評価を行った後に予防対策を行う.プロトコル運用前後の9カ月間,約3,000名の患者を対象に後ろ向きに調査した結果,DVT診断率は運用前0.06% vs運用後0.56%(p=0.0017)とプロトコル運用後に有意に上昇した.一方,PTEの発症率には差がなかった.当院のDVT予防プロトコルとDVT予防チームによる多面的な介入はDVT診断率を上昇し,早期にDVT治療を行ったことで,PTEの未然回避に有用であった. |
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ISSN: | 0915-7395 2186-5523 |
DOI: | 10.7134/phlebol.19-02 |