病理学的な炎症の残存に着目した急性虫垂炎の待機的腹腔鏡下虫垂切除術の検討
【目的】単純性虫垂炎(simple appendicitis:以下,SA),複雑性虫垂炎(complicated appendicitis:以下,CA)に対する待機的虫垂切除術(interval appendectomy:以下,IA)の有用性を病理学的な炎症残存の有無に着目し検討した。【対象と方法】2013年4月から2020年3月にIAを完遂した急性虫垂炎例を対象とし後方視的に検討した。【結果】SA群は69例,CA群は26例であり,CA群で炎症残存が多かった。SA群では炎症の有無と待機日数や手術成績は関連しなかった。CA群では炎症残存例で入院日数が長く,術後ドレーン留置が多かった。壊疽性虫垂炎...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 215 - 221 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.07.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.41.4_215 |
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Summary: | 【目的】単純性虫垂炎(simple appendicitis:以下,SA),複雑性虫垂炎(complicated appendicitis:以下,CA)に対する待機的虫垂切除術(interval appendectomy:以下,IA)の有用性を病理学的な炎症残存の有無に着目し検討した。【対象と方法】2013年4月から2020年3月にIAを完遂した急性虫垂炎例を対象とし後方視的に検討した。【結果】SA群は69例,CA群は26例であり,CA群で炎症残存が多かった。SA群では炎症の有無と待機日数や手術成績は関連しなかった。CA群では炎症残存例で入院日数が長く,術後ドレーン留置が多かった。壊疽性虫垂炎残存例ではIA前の画像検査で4例中3例に膿瘍が残存していた。また120日以上の待機例では術後ドレーン留置が少なく(0.0% vs. 50.0%,P=0.004),手術時間が短い傾向にあった(83分 vs. 113分,P=0.062)。【結論】CAに対するIAでは,120日以上待機し,かつ画像診断で膿瘍消失を確認することで手術成績が向上する可能性がある。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.41.4_215 |