特発性気管支動脈破裂に対し胸部大動脈ステントグラフト内挿術を施行した1例

縦隔血腫の原因として,縦隔型気管支動脈瘤破裂は稀な疾患として鑑別に挙げられ,コイル塞栓術により良好な経過をたどった報告が散見される.しかしながら瘤状変化を伴わない特発性気管支動脈破裂が原因となる症例は極めて稀である.今回,特発性気管支動脈破裂に対して胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair: TEVAR)により順行性血流を閉鎖し良好な結果を得た1例を経験した.症例は72歳男性.心窩部痛を自覚し,前医に救急搬送された.CT検査で縦隔血腫を認め,精査加療のため当院に搬送された.当初保存的加療が選択されたが,経時的に気管支動脈に仮性瘤を...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 299 - 302
Main Authors 横山, 斉, 新城, 宏治, 高瀬, 信弥, 瀬戸, 夕輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.10.2024
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.24-00059

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Summary:縦隔血腫の原因として,縦隔型気管支動脈瘤破裂は稀な疾患として鑑別に挙げられ,コイル塞栓術により良好な経過をたどった報告が散見される.しかしながら瘤状変化を伴わない特発性気管支動脈破裂が原因となる症例は極めて稀である.今回,特発性気管支動脈破裂に対して胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair: TEVAR)により順行性血流を閉鎖し良好な結果を得た1例を経験した.症例は72歳男性.心窩部痛を自覚し,前医に救急搬送された.CT検査で縦隔血腫を認め,精査加療のため当院に搬送された.当初保存的加療が選択されたが,経時的に気管支動脈に仮性瘤を形成し拡大傾向を認めたため,準緊急でTEVARが施行された.術後CT検査では瘤の消失が確認でき,術後14日目に独歩退院となった.気管支動脈破裂に対する治療戦略としてTEVARも有効な選択肢の1つとなりうる.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.24-00059