左外鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症に対し一期的に腹腔鏡下大網切除・TAPP法を施行した1例

症例は38歳,女性。左側腹部痛を主訴に受診した。左側腹部に圧痛を認め,血液検査で炎症反応上昇を認めた。腹部CTで左中腹部に脂肪組織を中心とする渦巻き状の構造物を認め,その周囲は脂肪織濃度上昇を伴い,左鼠径管に連続していた。左鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症と診断し,腹腔鏡下大網切除および鼠径ヘルニア根治術を施行した。大網は左側腹部で捻転しており,末梢側は左鼠径ヘルニア門に癒着していた。捻転した末梢側の大網は壊死所見を呈したため切除しTAPP法でヘルニアを修復した。術後経過は良好で軽快し,退院した。今回鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症に対し腹腔鏡・TAPP法を用い加療した例を経験した。大網切除と...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 545 - 548
Main Authors 緑川, 隆太, 石川, 博人, 宮崎, 大貴, 岸本, 幸也, 小嶋, 聡生, 岡部, 正之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.545

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Summary:症例は38歳,女性。左側腹部痛を主訴に受診した。左側腹部に圧痛を認め,血液検査で炎症反応上昇を認めた。腹部CTで左中腹部に脂肪組織を中心とする渦巻き状の構造物を認め,その周囲は脂肪織濃度上昇を伴い,左鼠径管に連続していた。左鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症と診断し,腹腔鏡下大網切除および鼠径ヘルニア根治術を施行した。大網は左側腹部で捻転しており,末梢側は左鼠径ヘルニア門に癒着していた。捻転した末梢側の大網は壊死所見を呈したため切除しTAPP法でヘルニアを修復した。術後経過は良好で軽快し,退院した。今回鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症に対し腹腔鏡・TAPP法を用い加療した例を経験した。大網切除とメッシュ使用によるヘルニア修復術は一期的に可能であり,その際腹腔鏡・TAPPを用いることは非常に有用であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.545