ラジオ波焼灼術を含む集学的治療で13年半生存中の小腸GIST多発肝転移の1例
症例は45歳,男性.主訴は左下腹部痛,発熱であった.近医での血液検査,腹部超音波検査でS状結腸癌の穿通,多発肝転移が疑われ受診した.造影CT,大腸内視鏡検査,小腸造影検査で,小腸腫瘍,多発肝転移と診断した.空腸部分切除術を施行したところ,病理組織学的検査では小腸GISTと診断された.イマチニブの投与を開始したが,投与開始1カ月後のCTで多発肝転移は増大しており,ラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)を追加した.RFAを計3回,14病変に施行した.初回RFA施行から2年6カ月の間,再発や新規肝転移は認めず,病勢制御が可能であった.初回術後2年,5年,7年,10年...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 3; pp. 577 - 585 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2021
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.82.577 |
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Summary: | 症例は45歳,男性.主訴は左下腹部痛,発熱であった.近医での血液検査,腹部超音波検査でS状結腸癌の穿通,多発肝転移が疑われ受診した.造影CT,大腸内視鏡検査,小腸造影検査で,小腸腫瘍,多発肝転移と診断した.空腸部分切除術を施行したところ,病理組織学的検査では小腸GISTと診断された.イマチニブの投与を開始したが,投与開始1カ月後のCTで多発肝転移は増大しており,ラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)を追加した.RFAを計3回,14病変に施行した.初回RFA施行から2年6カ月の間,再発や新規肝転移は認めず,病勢制御が可能であった.初回術後2年,5年,7年,10年目に肝転移再発に対し肝切除術を施行した.その後,両側肺転移,右副腎転移,前縦隔再発,後腹膜再発,膵転移,後縦隔再発に対して,外科切除を施行した.初回術後13年6カ月経過しているが,無再発生存中で,イマチニブ投与を継続中である.小腸GIST同時性多発転移に対してRFAを含む集学的治療の有効性が示唆された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.82.577 |