近赤外線組織酸素モニター下の右腋窩動脈一側送血による脳分離体外循環法

要旨胸部大動脈手術におけるシンプルかつ安全な脳分離体外循環(SCP)を目指し、遠心ポンプでの右腋窩動脈一側SCPを近赤外線組織酸素モニター(NIRO)下に行い、良好な初期成績を得たので報告する。対象は、2005年7月から2007年11月に行った大動脈手術10例。NIRO装置を装着、右腋窩動脈送血による人工心肺確立後、膀胱温25-27℃ まで冷却。弓部3分枝をソフトクランプで遮断し,右腋窩動脈からの一側送血のSCPに移行。遠心ポンプの回転数を一定に保ち、送血部の灌流圧監視下に,クランパーにて送血流量を10~14mL/min/kgに調整。NIROで脳組織酸素化指標が左側で有意に低下する、あるいは左...

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Published in体外循環技術 Vol. 35; no. 1; pp. 19 - 22
Main Authors 樋口, 毅, 申, 範圭, 森, 光晴, 鈴木, 亮, 菱沼, 浩孝, 笠原, 啓史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 2008
日本体外循環技術医学会
Subjects
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ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.35.19

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Summary:要旨胸部大動脈手術におけるシンプルかつ安全な脳分離体外循環(SCP)を目指し、遠心ポンプでの右腋窩動脈一側SCPを近赤外線組織酸素モニター(NIRO)下に行い、良好な初期成績を得たので報告する。対象は、2005年7月から2007年11月に行った大動脈手術10例。NIRO装置を装着、右腋窩動脈送血による人工心肺確立後、膀胱温25-27℃ まで冷却。弓部3分枝をソフトクランプで遮断し,右腋窩動脈からの一側送血のSCPに移行。遠心ポンプの回転数を一定に保ち、送血部の灌流圧監視下に,クランパーにて送血流量を10~14mL/min/kgに調整。NIROで脳組織酸素化指標が左側で有意に低下する、あるいは左総頚動脈と左鎖骨下動脈からの充分な逆行性血流を認めない場合には、送血ライン側枝を用いて両側脳分離体外循環に移行した。3例で両側SCPに移行した。早期および遠隔死亡なく、術後脳合併症も認めなかった。脳虚血が疑われたときに速やかに両側送血に移行可能な本法は、体循環からSCPへの移行がスムーズで安全な脳分離体外循環法と考えられる。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.35.19