偶発的に発見された慢性孤立性上腸間膜動脈解離性動脈瘤に対する1手術例

症例は60代男性.偶発的に30 mmの上腸間膜動脈瘤を指摘された.上腸間膜動脈の大動脈起始部から25 mmの部位に解離を認めており,孤立性上腸間膜動脈解離の慢性期に偽腔が瘤化したものと考えられた.中結腸動脈,空腸動脈は狭小化した真腔から分岐し,右結腸動脈,回結腸動脈は偽腔より栄養されていた.手術は腹部正中切開にてアプローチし,瘤切開後,大腿動脈と瘤末梢をチューブで接続し還流を確立した後に血行再建を行った.エントリーを中枢側吻合部とし大伏在静脈を用いて回結腸動脈の枝に吻合し,右結腸動脈は静脈グラフトに端側吻合し血行再建を完成させた.瘤末梢は縫縮し閉鎖した.慢性期の孤立性上腸間膜動脈解離性動脈瘤に...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 30; no. 6; pp. 341 - 345
Main Authors 長谷川, 悠人, 新谷, 恒弘, 夏目, 佳代子, 大倉, 一宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 26.11.2021
日本血管外科学会
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Summary:症例は60代男性.偶発的に30 mmの上腸間膜動脈瘤を指摘された.上腸間膜動脈の大動脈起始部から25 mmの部位に解離を認めており,孤立性上腸間膜動脈解離の慢性期に偽腔が瘤化したものと考えられた.中結腸動脈,空腸動脈は狭小化した真腔から分岐し,右結腸動脈,回結腸動脈は偽腔より栄養されていた.手術は腹部正中切開にてアプローチし,瘤切開後,大腿動脈と瘤末梢をチューブで接続し還流を確立した後に血行再建を行った.エントリーを中枢側吻合部とし大伏在静脈を用いて回結腸動脈の枝に吻合し,右結腸動脈は静脈グラフトに端側吻合し血行再建を完成させた.瘤末梢は縫縮し閉鎖した.慢性期の孤立性上腸間膜動脈解離性動脈瘤に対し,瘤切除と分枝再建を含む血行再建を施行し良好な結果を得た.エントリーを中枢側吻合部にする本術式により,真腔の血流温存が可能となり結果として主要な分枝の血流を温存することが可能であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00062