末梢赤血球の加熱接触温度50℃における奇形赤血球の出現率およびその細胞形態のサイズによる細胞区分の検討

赤血球の加熱初期状態における形態学的変化については明確にされていない。そこで,赤血球への接触加熱温度50℃における短時間の加熱による赤血球の加熱初期の形態学的変化について詳細に判定するため,デジタル画像解析をした。さらに,その細胞の形状,大きさ,出現頻度を算定し,形状,大きさの区分化を試みた。方法はヒトヘパリン加末梢血液6名の全血を用いて加熱血液量250 μL,500 μLの2種類を恒温槽にて加熱後に塗抹標本を作製し,May-Giemsa染色を行い出現する各種の奇形赤血球を形態学的に判定した。結果,加熱前と比較して加熱後は加熱血液量250 μL,500 μLともに奇形赤血球が著しく増加した。加...

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Published in医学検査 Vol. 74; no. 3; pp. 567 - 573
Main Author 兜森 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2025
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.24-88

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Summary:赤血球の加熱初期状態における形態学的変化については明確にされていない。そこで,赤血球への接触加熱温度50℃における短時間の加熱による赤血球の加熱初期の形態学的変化について詳細に判定するため,デジタル画像解析をした。さらに,その細胞の形状,大きさ,出現頻度を算定し,形状,大きさの区分化を試みた。方法はヒトヘパリン加末梢血液6名の全血を用いて加熱血液量250 μL,500 μLの2種類を恒温槽にて加熱後に塗抹標本を作製し,May-Giemsa染色を行い出現する各種の奇形赤血球を形態学的に判定した。結果,加熱前と比較して加熱後は加熱血液量250 μL,500 μLともに奇形赤血球が著しく増加した。加熱時間60秒,90秒,120秒では,区分4の中のその他奇形の細胞が加熱血液量250 μLと500 μLともに各加熱時間の中で最も多く出現していた。細胞形態と細胞の大きさを含めた区分分けをすることは,末梢血液中の奇形赤血球の出現率と全体の分布状態の判定が可能と思われた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.24-88