十二指腸総胆管瘻を伴う出血性十二指腸潰瘍に対して二期的なDubois手術で救命し得た1例

十二指腸総胆管瘻を伴う出血性十二指腸潰瘍の1例を経験したので報告する。症例は61歳,男性。意識障害で当院に救急搬送され,上部消化管出血による出血性ショックと診断された。内視鏡的止血が困難で緊急開腹手術を選択した。十二指腸球部後壁の潰瘍底に存在した露出血管からの出血と十二指腸総胆管瘻を認めた。直接縫合止血術を行ったが,術野全体の出血コントロールが困難となり,ガーゼパッキングによるダメージコントロール手術に移行した。全身状態安定後の再手術でDubois手術と総胆管へのT-tube挿入を行い,術後経過は良好であった。このような症例では定型的な治療法はなく,緊急性や重症度から縮小手術が求められる場面も...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 763 - 766
Main Authors 森, 泰木, 藤田, 昌久, 釜田, 茂幸, 伊藤, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2022
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Summary:十二指腸総胆管瘻を伴う出血性十二指腸潰瘍の1例を経験したので報告する。症例は61歳,男性。意識障害で当院に救急搬送され,上部消化管出血による出血性ショックと診断された。内視鏡的止血が困難で緊急開腹手術を選択した。十二指腸球部後壁の潰瘍底に存在した露出血管からの出血と十二指腸総胆管瘻を認めた。直接縫合止血術を行ったが,術野全体の出血コントロールが困難となり,ガーゼパッキングによるダメージコントロール手術に移行した。全身状態安定後の再手術でDubois手術と総胆管へのT-tube挿入を行い,術後経過は良好であった。このような症例では定型的な治療法はなく,緊急性や重症度から縮小手術が求められる場面も多い。本症例で行った二期的手術は低侵襲かつ総胆管狭窄や胆汁瘻などの重大な術後合併症発生時にも配慮した方法であり,治療の選択肢になると考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.763