急性心筋梗塞様のST上昇とelectrical stormを呈し, 死後のエコーガイド下経皮的針生検で診断し得た劇症型心筋炎の1例

• Published in: 心臓 Vol. 42; no. 9; pp. 1183 - 1188
• Main Authors: 森, 健太, 河田, 正仁, 中西, 智之, 平山, 恭孝, 足立, 和正, 松浦, 啓, 坂本, 丞, 佐野, 暢哉
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益財団法人 日本心臓財団 2010; 日本心臓財団
• Subjects: 急性心筋梗塞
• ISSN: 0586-4488; 2186-3016
• DOI: 10.11281/shinzo.42.1183

症例は87歳, 女性. 嘔気と全身倦怠感のため近医受診し, 血圧低下と心電図上II, III, aVFのST上昇を認め, 急性心筋梗塞の疑いで当院に救急搬送となった. 緊急冠動脈造影では正常冠動脈であり, 自然再灌流か冠攣縮性狭心症を疑った. 第1病日は心室性期外収縮による2段脈を呈していたが, 第2病日に心拍数150/分の心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)を認めた. 各種薬剤に反応せず, 意識レベルの低下と循環動態破綻をきたし, 心静止から死亡確認となった. 急性心筋梗塞か心筋炎による致死性不整脈か判断困難であり, 診断確定のため家族同意のもと, 体表からのエコーガイド下針心筋生検を施行した. 病理診断にて, 心筋線維束内と間に, び漫性のリンパ球浸潤と少数の好酸球を伴い, 心筋線維束には萎縮傾向と空胞変性, 浮腫も目立ち, 心筋炎と診断した. 急性心筋梗塞様心電図変化を呈し, electrical stormにて死亡した劇症型心筋炎の1例であり, 診断に経皮的エコーガイド下生検が有効であった.