診断に難渋した放射線誘発性頭蓋外内頚動脈仮性動脈瘤の一例:早期DSAフォローアップの重要性
19年前に副鼻腔骨肉腫に対して重粒子線照射を受けた41歳女性が,持続性鼻出血を発症し当院に搬送された.一次止血後の入院第3病日に再出血し,右蝶口蓋動脈領域からの出血と判断され,右顎動脈末梢部に塞栓術が施行されたが,第4病日に再度大量出血し,心停止に至った.蘇生後,より強固な止血を得るため,第5病日に右外頚動脈結紮術が施行されたが,第8病日に再出血した.右ICAの関与が疑われ,第10病日に当科へ紹介され,緊急DSAにて右ICA(C3)に仮性動脈瘤が認められた.側副血行路の評価後,右ICAの母血管閉塞術が施行された.術後は再出血なく経過し,神経脱落症状の出現もなく,mRS 0で自宅退院となった.I...
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Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 2; pp. 136 - 142 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2025
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 19年前に副鼻腔骨肉腫に対して重粒子線照射を受けた41歳女性が,持続性鼻出血を発症し当院に搬送された.一次止血後の入院第3病日に再出血し,右蝶口蓋動脈領域からの出血と判断され,右顎動脈末梢部に塞栓術が施行されたが,第4病日に再度大量出血し,心停止に至った.蘇生後,より強固な止血を得るため,第5病日に右外頚動脈結紮術が施行されたが,第8病日に再出血した.右ICAの関与が疑われ,第10病日に当科へ紹介され,緊急DSAにて右ICA(C3)に仮性動脈瘤が認められた.側副血行路の評価後,右ICAの母血管閉塞術が施行された.術後は再出血なく経過し,神経脱落症状の出現もなく,mRS 0で自宅退院となった.ICA仮性動脈瘤による鼻出血は短期間で致死的になり得るため,放射線照射歴がある症例では,その関与を念頭に置き,迅速かつ厳密な出血源検索と治療が求められる. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11282 |