総腸骨動静脈瘻に対してステントグラフト内挿術を施行した1例

総腸骨動静脈瘻は従来,開腹手術が行われていたが,動静脈瘻周囲の癒着や静脈高血圧症による大量出血の可能性から,開腹手術は高リスクであった.今回,開腹歴のある総腸骨動静脈瘻に対してステントグラフト内挿術を施行し,良好な結果が得られた1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例は84歳,女性.82歳時に子宮癌肉腫に対して腹式単純子宮全摘術が施行された.2カ月前より左下肢浮腫が急速に増悪したため,造影CT検査を施行したところ,右総腸骨動脈と左総腸骨静脈に動静脈瘻を形成していた.開腹手術の困難さとADLも低いことから,低侵襲にステントグラフト内挿術による動静脈瘻閉鎖の方針とした.GORE EXC...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 307 - 310
Main Authors 古山, 和憲, 西田, 聡, 鷹合, 真太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 27.07.2023
日本血管外科学会
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Summary:総腸骨動静脈瘻は従来,開腹手術が行われていたが,動静脈瘻周囲の癒着や静脈高血圧症による大量出血の可能性から,開腹手術は高リスクであった.今回,開腹歴のある総腸骨動静脈瘻に対してステントグラフト内挿術を施行し,良好な結果が得られた1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例は84歳,女性.82歳時に子宮癌肉腫に対して腹式単純子宮全摘術が施行された.2カ月前より左下肢浮腫が急速に増悪したため,造影CT検査を施行したところ,右総腸骨動脈と左総腸骨静脈に動静脈瘻を形成していた.開腹手術の困難さとADLも低いことから,低侵襲にステントグラフト内挿術による動静脈瘻閉鎖の方針とした.GORE EXCLUDER contralateral legを,大動脈分岐部から右外腸骨動脈に展開することで動静脈瘻を閉塞させた.左下肢浮腫は速やかに改善し,術後6日目に退院した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00032