特発性胃壊死の1例

症例は82歳男性で,慢性腎不全(透析中),高血圧,慢性閉塞性肺疾患,認知症の持病がある。突然の腹痛で当院緊急搬送となったが来院時の腹部所見は板状硬で反跳痛を認めた。腹部CT検査で胃小弯の腹腔内遊離ガスおよび腹水,上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部の広範な壊死を認めた。特発性胃壊死・穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を施行した。胃穹窿部から体部に広範な壊死所見を認めたが,全身状態が極めて不良なため,ドレナージ,経腸栄養目的の腸瘻造設を行った。術後9病日に下血を発症し,下部消化管内視鏡検査で上行結腸に露出血管を伴う広範な潰瘍を認め壊死を疑う所見であった。その後全身状態が悪化し術後34病日に敗血...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 6; pp. 427 - 430
Main Authors 佐久田, 斉, 古川, 良幸, 山澤, 海人, 萩原, 慎, 柴, 浩明, 柳垣, 充, 丹治, 芳明, 飯田, 智憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2021
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.6_427

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Summary:症例は82歳男性で,慢性腎不全(透析中),高血圧,慢性閉塞性肺疾患,認知症の持病がある。突然の腹痛で当院緊急搬送となったが来院時の腹部所見は板状硬で反跳痛を認めた。腹部CT検査で胃小弯の腹腔内遊離ガスおよび腹水,上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部の広範な壊死を認めた。特発性胃壊死・穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を施行した。胃穹窿部から体部に広範な壊死所見を認めたが,全身状態が極めて不良なため,ドレナージ,経腸栄養目的の腸瘻造設を行った。術後9病日に下血を発症し,下部消化管内視鏡検査で上行結腸に露出血管を伴う広範な潰瘍を認め壊死を疑う所見であった。その後全身状態が悪化し術後34病日に敗血症で死亡した。特発性胃壊死は極めてまれで予後不良であり,結腸壊死を併発した報告は自験例がはじめてである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.6_427