胸髄腫瘍摘出術後に遷延した前胸部痛に対して傍胸骨肋間神経パルス高周波法が有効であった1症例

パルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)は合併症が少なく,安全かつ低侵襲な慢性痛の治療法として知られている.今回,遷延性術後痛に対して傍胸骨肋間神経(parasternal intercostal nerve:PSI)–PRFが有効だった1症例を経験した.症例は45歳男性.Th2~4の胸髄腫瘍摘出術と術後髄液漏に対する閉鎖術を受けた.術後に同神経領域に沿った左背部,側胸部,前胸部の持続痛が出現した.左肋骨角部で肋間神経PRFを行い,背部,側胸部の痛みはほぼ消失した.左前胸部痛が残存したため,単回PSIブロック(超音波ガイド下,0.25%レボブピバカイン単独)を行い,...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 30; no. 5; pp. 103 - 106
Main Authors 中島, 芳樹, 御室, 総一郎, 木村, 哲朗, 野澤, 広樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.05.2023
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.22-0052

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Summary:パルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)は合併症が少なく,安全かつ低侵襲な慢性痛の治療法として知られている.今回,遷延性術後痛に対して傍胸骨肋間神経(parasternal intercostal nerve:PSI)–PRFが有効だった1症例を経験した.症例は45歳男性.Th2~4の胸髄腫瘍摘出術と術後髄液漏に対する閉鎖術を受けた.術後に同神経領域に沿った左背部,側胸部,前胸部の持続痛が出現した.左肋骨角部で肋間神経PRFを行い,背部,側胸部の痛みはほぼ消失した.左前胸部痛が残存したため,単回PSIブロック(超音波ガイド下,0.25%レボブピバカイン単独)を行い,数日間は痛みが軽減した.効果時間延長を期待してPSI–PRFを行ったところ,数週間の鎮痛効果が得られた.硬膜癒着剥離術を行うまでの15カ月間,痛みの程度に応じて3~5週間ごとにPSI–PRFを合計20回行った.PSI–PRFに伴う明らかな合併症は認めず,鎮痛コントロールに有用だった.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.22-0052