軽度・中等度難聴と人工内耳装用者における聞こえと, 心理社会的状況の主観的評価 : 高等教育機関学生の検討

要旨: 高等教育機関に通う軽・中等度難聴学生7名, 比較対象として人工内耳装用 (CI) 学生8名, 高度難聴学生3名に対し web による自記式質問紙調査と面接調査を行い, 音声と環境音認知の評価 (SSQ-12) と, 心理社会的困難について評価した。 軽・中等度難聴学生は, CI 学生と比べて「音声理解」や「空間認識」について聞こえの困難感を示し, 楽器音や日常音の鮮明さなど「音の質」で問題は少ないとした。「傾聴努力」では全例で困難度が高かった。 軽・中等度難聴学生と CI 学生の心理社会的困難度 (数量化Ⅲ類解析) は, 難聴開示の戸惑い, 自己同一感の低下, コミュニケーション不全感...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 65; no. 2; pp. 113 - 121
Main Authors 中津, 真美, 廣田, 栄子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2022
日本聴覚医学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨: 高等教育機関に通う軽・中等度難聴学生7名, 比較対象として人工内耳装用 (CI) 学生8名, 高度難聴学生3名に対し web による自記式質問紙調査と面接調査を行い, 音声と環境音認知の評価 (SSQ-12) と, 心理社会的困難について評価した。 軽・中等度難聴学生は, CI 学生と比べて「音声理解」や「空間認識」について聞こえの困難感を示し, 楽器音や日常音の鮮明さなど「音の質」で問題は少ないとした。「傾聴努力」では全例で困難度が高かった。 軽・中等度難聴学生と CI 学生の心理社会的困難度 (数量化Ⅲ類解析) は, 難聴開示の戸惑い, 自己同一感の低下, コミュニケーション不全感, 心理的防衛の4象限に布置し, 心理的機制と対社会的機制の2軸で構成された。 軽・中等度難聴学生では難聴開示に心理的負荷が高く (p<.01), 学生支援では障害理解状況を把握し, 小児期からの継続した助言指導の必要性が示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.65.113