腸重積をきたした虫垂子宮内膜症の1例

症例は38歳,月経困難症のある女性。間欠的な右下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹部造影CTで回盲部の腸重積症と診断された。血流障害を疑う所見はなく,待機的に内視鏡的整復を試みたが,整復不十分と判断し,準緊急で開腹手術を施行した。術中所見では腸重積は解除されていたが,正常虫垂を同定できず,盲腸に腫瘤を触知した。回結腸動脈に沿って腫大したリンパ節を複数認めたため,悪性腫瘍の可能性を考慮して回盲部切除術(D3郭清)を施行した。術後病理組織学的に虫垂に発生した腸管子宮内膜症と診断された。虫垂子宮内膜症による腸重積は極めてまれな病態であり,術前・術中診断は困難である。子宮内膜症は良性疾患であるが,...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 723 - 726
Main Authors 小田, 竜也, 福永, 潔, 近藤, 譲, 岡﨑, 雅也, 山田, 嵩宜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.723

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Summary:症例は38歳,月経困難症のある女性。間欠的な右下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹部造影CTで回盲部の腸重積症と診断された。血流障害を疑う所見はなく,待機的に内視鏡的整復を試みたが,整復不十分と判断し,準緊急で開腹手術を施行した。術中所見では腸重積は解除されていたが,正常虫垂を同定できず,盲腸に腫瘤を触知した。回結腸動脈に沿って腫大したリンパ節を複数認めたため,悪性腫瘍の可能性を考慮して回盲部切除術(D3郭清)を施行した。術後病理組織学的に虫垂に発生した腸管子宮内膜症と診断された。虫垂子宮内膜症による腸重積は極めてまれな病態であり,術前・術中診断は困難である。子宮内膜症は良性疾患であるが,癌の可能性が否定できない場合はリンパ節郭清をすべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.723