膀胱癌術後の尿管動脈瘻に対してカテーテル的動脈塞栓術と大腿–大腿動脈バイパス術を施行した1例
膀胱癌術後の尿管動脈瘻に対してカテーテル的動脈塞栓術+大腿–大腿動脈バイパス術を施行した症例を経験したため報告する.症例は76歳,女性.膀胱癌に対し膀胱全摘除術+回腸導管造設術を施行され,縫合不全から腹腔内感染をきたし抗菌薬治療を受けた.術後5カ月後に導管部より動脈性出血を認め出血性ショックとなった.CTにて,右外腸骨動脈に周囲脂肪織濃度の上昇を伴う仮性動脈瘤を認めた.カテーテル的に右総腸骨・外腸骨・内腸骨動脈をそれぞれ塞栓し,続いて大腿–大腿動脈バイパス術を施行した.術後は血尿の再燃なく自宅退院となった.尿管動脈瘻は,腹腔内癒着などの影響で外科的修復が困難である例が多く,近年ステントグラフト...
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Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 47 - 51 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
20.02.2020
日本血管外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.19-00090 |
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Summary: | 膀胱癌術後の尿管動脈瘻に対してカテーテル的動脈塞栓術+大腿–大腿動脈バイパス術を施行した症例を経験したため報告する.症例は76歳,女性.膀胱癌に対し膀胱全摘除術+回腸導管造設術を施行され,縫合不全から腹腔内感染をきたし抗菌薬治療を受けた.術後5カ月後に導管部より動脈性出血を認め出血性ショックとなった.CTにて,右外腸骨動脈に周囲脂肪織濃度の上昇を伴う仮性動脈瘤を認めた.カテーテル的に右総腸骨・外腸骨・内腸骨動脈をそれぞれ塞栓し,続いて大腿–大腿動脈バイパス術を施行した.術後は血尿の再燃なく自宅退院となった.尿管動脈瘻は,腹腔内癒着などの影響で外科的修復が困難である例が多く,近年ステントグラフトなどの血管内治療の有用性が報告されており,個々の症例に応じた治療戦略を立てる必要がある. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.19-00090 |