ネフローゼ症候群の治療中に発症した肺ノカルジア症の1例
ステロイドおよび免疫抑制剤投与中の17歳のネフローゼ症候群患者に発症した肺ノカルジア症を報告する. X線検査で左S6末梢領域に多発性の空洞性病変を認めた. 気管支洗浄液のグラム染色でノカルジアを疑わせる菌糸体が確認され, 培養検査でNocardia novaと同定された. 鏡検で菌体を確認できたことが, その後の培養検査, 診断にきわめて有用であった. 近年, 腎疾患, 膠原病, 悪性疾患に対する免疫抑制療法に続発した肺日和見感染症が増加し, 原因菌を早期に分離して同定を行うことが治療の予後に重大な影響を与えている. ノカルジアも肺日和見感染の原因菌として重要であるが, 通常の細菌に比べて培養...
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Published in | 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 35 - 39 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児呼吸器疾患学会
2001
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Subjects | |
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ISSN | 0918-3876 2185-3754 |
DOI | 10.5701/jjpp.12.35 |
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Summary: | ステロイドおよび免疫抑制剤投与中の17歳のネフローゼ症候群患者に発症した肺ノカルジア症を報告する. X線検査で左S6末梢領域に多発性の空洞性病変を認めた. 気管支洗浄液のグラム染色でノカルジアを疑わせる菌糸体が確認され, 培養検査でNocardia novaと同定された. 鏡検で菌体を確認できたことが, その後の培養検査, 診断にきわめて有用であった. 近年, 腎疾患, 膠原病, 悪性疾患に対する免疫抑制療法に続発した肺日和見感染症が増加し, 原因菌を早期に分離して同定を行うことが治療の予後に重大な影響を与えている. ノカルジアも肺日和見感染の原因菌として重要であるが, 通常の細菌に比べて培養に長期間を必要とする特徴を有するため, 診断がときに困難であると従来から指摘されている. 私たちはネフローゼ症候群の治療中に空洞性病変で発見された肺ノカルジア症の1例を経験し, 気管支洗浄で得られた検体の鏡検が診断上きわめて有用であったので報告する. |
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ISSN: | 0918-3876 2185-3754 |
DOI: | 10.5701/jjpp.12.35 |