セルフグリップメッシュを用いたTAPP法が有用であった閉鎖孔ヘルニア嵌頓の2例

症例1は86歳,女性。右鼠径部痛と嘔吐を主訴に受診した。腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニア嵌頓を認め,緊急手術を施行した。症例2は96歳,女性。嘔吐を主訴に受診した。腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞を認め,緊急手術を施行した。いずれの症例も腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal repair:以下,TAPP法)を施行し,メッシュはセルフグリップメッシュを使用した。閉鎖孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術は散見されるが,術式に関しては確立していない。TAPP法は,閉鎖孔ヘルニア症例に高率に合併するといわれるその他の潜在的なヘルニアを一期的に予防的根治で...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 765 - 768
Main Authors 小西, 健斗, 弘中, 一平, 金井, 秀樹, 小林, 徹也, 田辺, 義明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2023
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.765

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Summary:症例1は86歳,女性。右鼠径部痛と嘔吐を主訴に受診した。腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニア嵌頓を認め,緊急手術を施行した。症例2は96歳,女性。嘔吐を主訴に受診した。腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞を認め,緊急手術を施行した。いずれの症例も腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal repair:以下,TAPP法)を施行し,メッシュはセルフグリップメッシュを使用した。閉鎖孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術は散見されるが,術式に関しては確立していない。TAPP法は,閉鎖孔ヘルニア症例に高率に合併するといわれるその他の潜在的なヘルニアを一期的に予防的根治できる点や,低侵襲で嵌頓腸管の質的診断も可能な点で有用である。また,TAPP法による術後慢性疼痛の原因の1つにタッキングがあり,自験例のようにタッキングの不必要なメッシュの使用は,術後疼痛軽減においても有用と考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.765