偶発的に発見された無症候性膝窩静脈静脈性血管瘤の1手術例

膝窩静脈静脈性血管瘤(Popliteal venous aneurysm, PVA)は稀な疾患だが,時に深部静脈血栓症や肺塞栓症(Pulmonary embolism, PE)を合併することが知られている.抗凝固療法単独では不十分であり外科的治療が推奨されている.今回われわれは偶発的に発見された無症候性PVAに対し外科的介入を行い,良好な経過を得たので報告する.症例は64歳,女性.右下肢静脈瘤の精査目的に施行された下肢血管エコー検査で偶発的に右側のPVAを認めた.PVA内に血栓像はなく無症候性であったが,PEの予防目的に瘤縫縮術を施行した.現在術後1年経過しているが,瘤再発や血栓閉塞などの合併...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 67 - 71
Main Authors 酒井, 麻里, 山下, 重幸, 山下, 昭雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 28.04.2022
日本血管外科学会
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Summary:膝窩静脈静脈性血管瘤(Popliteal venous aneurysm, PVA)は稀な疾患だが,時に深部静脈血栓症や肺塞栓症(Pulmonary embolism, PE)を合併することが知られている.抗凝固療法単独では不十分であり外科的治療が推奨されている.今回われわれは偶発的に発見された無症候性PVAに対し外科的介入を行い,良好な経過を得たので報告する.症例は64歳,女性.右下肢静脈瘤の精査目的に施行された下肢血管エコー検査で偶発的に右側のPVAを認めた.PVA内に血栓像はなく無症候性であったが,PEの予防目的に瘤縫縮術を施行した.現在術後1年経過しているが,瘤再発や血栓閉塞などの合併症なく経過している.PVAの手術成績は比較的良好であり,症候性,無症候性を問わずPVAに対し積極的な外科的治療を考慮すべきと考える.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00069