Prader-Willi症候群に生じた甲状腺乳頭癌の1例

症例は38歳,女性.乳児期にPrader-Willi症候群(PWS)と診断されていた.スクリーニング検査にて甲状腺右葉に結節性病変を指摘され,精査加療目的に当科を紹介受診.甲状腺癌が強く疑われたため,手術加療の方針となった.精神発達遅延のため興奮状態となることがあり,全身麻酔導入に難渋した.手術は甲状腺右葉+峡部を摘出し,術中迅速診断にて甲状腺乳頭癌の診断であったため,頸部リンパ節郭清を追加した.術前CTではリンパ節腫大は認めなかったが,病理学的には9個の転移リンパ節を認めた.術後2年9カ月経過した現在,明らかな再発は認めていない.PWS患者における悪性新生物の報告は極めて少なく,本症例は甲状...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 2; pp. 281 - 284
Main Authors 小野田, 尚佳, 宮内, 亮子, 森崎, 珠実, 柏木, 伸一郎, 高島, 勉, 野田, 諭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.281

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Summary:症例は38歳,女性.乳児期にPrader-Willi症候群(PWS)と診断されていた.スクリーニング検査にて甲状腺右葉に結節性病変を指摘され,精査加療目的に当科を紹介受診.甲状腺癌が強く疑われたため,手術加療の方針となった.精神発達遅延のため興奮状態となることがあり,全身麻酔導入に難渋した.手術は甲状腺右葉+峡部を摘出し,術中迅速診断にて甲状腺乳頭癌の診断であったため,頸部リンパ節郭清を追加した.術前CTではリンパ節腫大は認めなかったが,病理学的には9個の転移リンパ節を認めた.術後2年9カ月経過した現在,明らかな再発は認めていない.PWS患者における悪性新生物の報告は極めて少なく,本症例は甲状腺乳頭癌の本邦で初めての報告となる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.281