破裂脳動脈瘤コイル塞栓術中にヘパリン起因性血小板減少症による急激な血栓症を来した1例

ヘパリンは,血管内治療において一般的に使用されているが,術中のヘパリン起因性血小板減少症に関しては,あまり知られていない.患者は52歳女性.頭痛後に意識障害を呈し,救急搬送された.CTによりSAHと診断し,MRAで脳底動脈–左上小脳動脈分岐部に動脈瘤を認め,コイル塞栓を行った.治療中にヘパリン起因性血小板減少症によると考えられた多発血栓を認め,直ちにアルガトロバンによる治療を開始したが,多発脳梗塞を来した.脳外科領域の血管内治療中にヘパリン起因性血小板減少症を呈した報告は少なく,破裂脳動脈瘤におけるコイル塞栓中の発症は過去1例であった.ヘパリン起因性血小板減少症は稀であるが,重篤な合併症を来し...

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Published in脳卒中 Vol. 45; no. 5; pp. 401 - 406
Main Authors 穴澤, 徹, 滝川, 知司, 成合, 康彦, 杉浦, 嘉樹, 河村, 洋介, 鈴木, 亮太郎, 高野, 一成, 永石, 雅也, 兵頭, 明夫, 鈴木, 謙介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2023
日本脳卒中学会
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Summary:ヘパリンは,血管内治療において一般的に使用されているが,術中のヘパリン起因性血小板減少症に関しては,あまり知られていない.患者は52歳女性.頭痛後に意識障害を呈し,救急搬送された.CTによりSAHと診断し,MRAで脳底動脈–左上小脳動脈分岐部に動脈瘤を認め,コイル塞栓を行った.治療中にヘパリン起因性血小板減少症によると考えられた多発血栓を認め,直ちにアルガトロバンによる治療を開始したが,多発脳梗塞を来した.脳外科領域の血管内治療中にヘパリン起因性血小板減少症を呈した報告は少なく,破裂脳動脈瘤におけるコイル塞栓中の発症は過去1例であった.ヘパリン起因性血小板減少症は稀であるが,重篤な合併症を来し得るため,早期に発見し,治療を開始することが重要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11125