横行結腸が嵌頓した92歳大腿ヘルニアの1例

今回われわれは,超高齢者に生じた横行結腸が嵌頓した大腿ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は92歳の女性で,2022年8月に食思不振を主訴に他院を受診し,大腿ヘルニア嵌頓と診断され当院へ紹介となった.腹部単純CTで横行結腸が右鼠径部に嵌頓し,同部より口側腸管が拡張していた.用手還納を試みたが不可能で,同日に緊急手術を施行した.全身麻酔下に大腿法によるアプローチで膨隆部の周囲を剥離すると,鼠径靱帯より尾側にヘルニア囊が存在したために大腿ヘルニアと診断した.ヘルニア囊を開放すると,内容物は横行結腸および大網であった.壊死は認めなかったため腹腔内に還納しようとしたが不可能で,下腹部正中切開も追...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 5; pp. 836 - 840
Main Authors 小林, 真一郎, 渡邊, 真哉, 古田, 美保, 岩田, 力, 會津, 恵司, 佐藤, 文哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.836

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Summary:今回われわれは,超高齢者に生じた横行結腸が嵌頓した大腿ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は92歳の女性で,2022年8月に食思不振を主訴に他院を受診し,大腿ヘルニア嵌頓と診断され当院へ紹介となった.腹部単純CTで横行結腸が右鼠径部に嵌頓し,同部より口側腸管が拡張していた.用手還納を試みたが不可能で,同日に緊急手術を施行した.全身麻酔下に大腿法によるアプローチで膨隆部の周囲を剥離すると,鼠径靱帯より尾側にヘルニア囊が存在したために大腿ヘルニアと診断した.ヘルニア囊を開放すると,内容物は横行結腸および大網であった.壊死は認めなかったため腹腔内に還納しようとしたが不可能で,下腹部正中切開も追加した.ヘルニア囊は高位結紮を行い,正中切開創から腹膜前腔にフラットメッシュを留置してCooper靱帯に固定した.術後に漿液腫を認めたが,術後第21病日に自宅へ退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.836