先天性プロテインC欠乏症に起因する門脈血栓症の1例

40歳男性.心窩部痛で受診.腹部単純CTで門脈内血栓が疑われ,肝ダイナミックCTを撮像すると,肝内門脈から門脈本幹,上腸間膜静脈にかけて血栓像を認めた.乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤を投与し,血栓は縮小した.その後ワルファリンカリウム投与により,血栓は増大なく経過している.血栓の原因精査として,血液検査,画像検査上は肝硬変を示唆する所見を認めず,肝生検病理所見上は,線維化は軽度で特発性門脈圧亢進症を示唆する所見も認めなかった.血栓性素因の検索を行い,血中プロテインC活性の低下を認めた.後日PROC遺伝子変異の解析を行ったところ,stop gain variant(p.Trp2*)をヘテロ...

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Published in肝臓 Vol. 63; no. 2; pp. 62 - 68
Main Authors 東浦, 玲意, 早田, 菜保子, 宮崎, 哲郎, 田中, 聡司, 山本, 俊祐, 中水流, 正一, 石田, 永, 田邊, 元太郎, 高橋, 実佑, 福武, 伸康, 三好, 真央, 三田, 英治, 石原, 朗雄, 清木, 祐介, 西村, 佑子, 長谷川, 裕子, 川端, 将生, 榊原, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.02.2022
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.63.62

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Summary:40歳男性.心窩部痛で受診.腹部単純CTで門脈内血栓が疑われ,肝ダイナミックCTを撮像すると,肝内門脈から門脈本幹,上腸間膜静脈にかけて血栓像を認めた.乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤を投与し,血栓は縮小した.その後ワルファリンカリウム投与により,血栓は増大なく経過している.血栓の原因精査として,血液検査,画像検査上は肝硬変を示唆する所見を認めず,肝生検病理所見上は,線維化は軽度で特発性門脈圧亢進症を示唆する所見も認めなかった.血栓性素因の検索を行い,血中プロテインC活性の低下を認めた.後日PROC遺伝子変異の解析を行ったところ,stop gain variant(p.Trp2*)をヘテロ接合体で認め,先天性プロテインC欠乏症と診断した.非肝硬変・非腫瘍性の門脈血栓症を認めた場合は,肝疾患の検索とともに血栓性素因を検索することが重要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.63.62