Klebsiella pneumoniaeによる化膿性脊椎炎を合併した感染性動脈瘤の1例

79歳の男性.2週間前からの発熱,腰背部痛にて近医入院中に,左総腸骨動脈瘤の急速増大を認め搬送となった.炎症反応上昇とCTで95 mm大の分葉状の形態をした動脈瘤を認め,第4, 5腰椎の骨溶解像も認めた.以上より,化膿性脊椎炎を合併した感染性動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.動脈瘤,および周囲感染巣を切除後,非解剖学的に大腿–大腿動脈人工血管バイパス術で再建し,大網を充填した.血液培養は陰性であったが,瘤壁の培養からKlebsiella pneumoniaeが検出された.術後,化膿性脊椎炎のため離床が困難で,術早期に整形外科手術を行い,リハビリテーションを開始して,独歩で転院となった.化膿性...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 3; pp. 255 - 258
Main Authors 窪田, 優子, 青山, 孝信, 末廣, 泰男, 平居, 秀和, 瀬尾, 浩之, 末廣, 茂文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29.06.2019
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00032

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Summary:79歳の男性.2週間前からの発熱,腰背部痛にて近医入院中に,左総腸骨動脈瘤の急速増大を認め搬送となった.炎症反応上昇とCTで95 mm大の分葉状の形態をした動脈瘤を認め,第4, 5腰椎の骨溶解像も認めた.以上より,化膿性脊椎炎を合併した感染性動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.動脈瘤,および周囲感染巣を切除後,非解剖学的に大腿–大腿動脈人工血管バイパス術で再建し,大網を充填した.血液培養は陰性であったが,瘤壁の培養からKlebsiella pneumoniaeが検出された.術後,化膿性脊椎炎のため離床が困難で,術早期に整形外科手術を行い,リハビリテーションを開始して,独歩で転院となった.化膿性脊椎炎を合併した感染性動脈瘤は稀であり,脊椎炎に対しては保存的加療が選択されることが多い.しかし,骨破壊が強い症例には積極的に整形外科的介入を行うことで早期離床を進めることができ,有用であると思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00032