前庭性片頭痛とメニエール病における平衡機能評価の比較 鑑別における cVEMP の有用性について

「はじめに」前庭性片頭痛(vestibular migraine:以下VM)とメニエール病(Meniere's disease:以下MD)は, ともに自発性, 発作性のめまいを反復する疾患であり, そのめまいの性状が類似しており, そして互いに合併が多い. VMの診断において, 聴力低下を伴うMD確実例との鑑別はその聴力検査所見から容易であるが, 難聴を伴わないMD非定型例(前庭型)との鑑別は診療の場で苦慮することがある. また両疾患の病態について, VMは片頭痛の病態が関係している可能性が指摘されているが未だ明らかになっておらず, 他方, MDは内リンパ水腫が主たる病態とされている...

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Published inEquilibrium Research Vol. 81; no. 4; pp. 184 - 191
Main Authors 乾, 崇樹, 栗山, 達朗, 白井, 丈雄, 綾仁, 悠介, 稲中, 優子, 荒木, 倫利, 萩森, 伸一, 河田, 了
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31.08.2022
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」前庭性片頭痛(vestibular migraine:以下VM)とメニエール病(Meniere's disease:以下MD)は, ともに自発性, 発作性のめまいを反復する疾患であり, そのめまいの性状が類似しており, そして互いに合併が多い. VMの診断において, 聴力低下を伴うMD確実例との鑑別はその聴力検査所見から容易であるが, 難聴を伴わないMD非定型例(前庭型)との鑑別は診療の場で苦慮することがある. また両疾患の病態について, VMは片頭痛の病態が関係している可能性が指摘されているが未だ明らかになっておらず, 他方, MDは内リンパ水腫が主たる病態とされているものの全ての症状や病態の進行を説明するには至っていない. さらにVMとMD双方の診断基準を満たすめまい発作を反復する前庭性片頭痛/メニエール病重複症候群(vestibular migraine/Meniere's disease overlapping syndrome)の報告(VM/MD-OSあるいはVMOS)や, 内耳造影MRIでVM例にも少ないながら内リンパ水腫が示唆された報告もあり, 両疾患の関係は非常に興味深い.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.81.184