陽子線治療により2年間局所制御されている乳癌オリゴ肺転移の1例

症例は48歳,女性.42歳時,右乳癌に対し乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検を施行(pT1c,pN0,cM0,ER陰性,PgR陰性,HER2陰性,Ki67 70%).術後補助療法としてEC療法4クールとRT(50Gy/25fr)を施行.45歳時,胸部X線写真で左肺野に結節影を指摘.CTで左肺上葉に17×12mm大の結節を認め,経気管支鏡生検の結果,乳癌の肺転移と診断された.TS-1内服を2コース施行したが,肺結節は21×17mm大に増大しPDと判定.明らかな新規病変の出現は認めず,患者と相談の結果,他院放射線専門施設において肺転移巣に対し先進医療として陽子線治療を行った(66GyE/10f...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 35 - 42
Main Authors 岡崎, 泰士, 大谷, 聡, 田中, 健太, 宮嶋, 則行, 佐賀, 信介, 山村, 和生, 安藤, 修久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.35

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Summary:症例は48歳,女性.42歳時,右乳癌に対し乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検を施行(pT1c,pN0,cM0,ER陰性,PgR陰性,HER2陰性,Ki67 70%).術後補助療法としてEC療法4クールとRT(50Gy/25fr)を施行.45歳時,胸部X線写真で左肺野に結節影を指摘.CTで左肺上葉に17×12mm大の結節を認め,経気管支鏡生検の結果,乳癌の肺転移と診断された.TS-1内服を2コース施行したが,肺結節は21×17mm大に増大しPDと判定.明らかな新規病変の出現は認めず,患者と相談の結果,他院放射線専門施設において肺転移巣に対し先進医療として陽子線治療を行った(66GyE/10fr).照射後,肺病変は消失し,以後2年間再発を認めず,新規病変の出現もみられていない.照射に伴う有害事象はGrade1の皮膚炎と肺臓炎のみであった.再発乳癌の予後は不良であり,治療の目的は延命とQOLの維持・改善であるが,近年,オリゴ転移に対し積極的な局所治療で予後改善が得られたとの報告が散見され,陽子線治療の報告もみられる.文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.35