先天性心疾患に合併した肺静脈狭窄に対する薬剤コーティングバルーン治療

緒言:小児肺静脈狭窄は進行性であり,外科修復・カテーテル治療によっても新生内膜増殖による再狭窄をきたす予後不良な疾患である. 症例1:8歳女児,左心低形成症候群,総肺静脈還流異常症(TAPVC).生後3カ月にTAPVC修復術,生後9カ月にNorwood手術,右Blalock-Taussig手術を実施したが,再発性両側性肺静脈狭窄(PVO)のためGlenn手術適応外とした.両側PVOに対してステント留置したがステント内再狭窄を繰り返し3.5年間で計18回バルーン血管形成術(BAP)を行った.5歳時にSeQuentPlease 4 mmダブルバルーン法によるBAPを行った.以後薬剤コーティングバル...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 10; pp. 1184 - 1191
Main Authors 渡邉, まみ江, 土井, 大人, 杉谷, 雄一郎, 宗内, 淳, 松岡, 良平, 江崎, 大起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2020
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.52.1184

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Summary:緒言:小児肺静脈狭窄は進行性であり,外科修復・カテーテル治療によっても新生内膜増殖による再狭窄をきたす予後不良な疾患である. 症例1:8歳女児,左心低形成症候群,総肺静脈還流異常症(TAPVC).生後3カ月にTAPVC修復術,生後9カ月にNorwood手術,右Blalock-Taussig手術を実施したが,再発性両側性肺静脈狭窄(PVO)のためGlenn手術適応外とした.両側PVOに対してステント留置したがステント内再狭窄を繰り返し3.5年間で計18回バルーン血管形成術(BAP)を行った.5歳時にSeQuentPlease 4 mmダブルバルーン法によるBAPを行った.以後薬剤コーティングバルーン(DCB)を積極的に使用し,治療間隔が延長した. 症例2:2歳男児,無脾症,房室中隔欠損症,TAPVC(Ib).日齢0に垂直静脈狭窄部にステント留置したがステント内狭窄のため日齢2,10にBAPを行った.ステント内再狭窄に対して,生後2カ月にSeQuentPlease 4 mmおよび3.5 mmダブルバルーン法によるBAPを実施し,以後追加治療を必要としなかった. 症例3:11歳女児,大動脈弓離断症,両大血管右室起始症.生後1カ月に大動脈弓形成術,肺動脈絞扼術を実施したが両側PVOおよび低心機能からフォンタン手術・二心室型修復いずれも適応外とした.10歳時に両側PVOのためBAPを実施したが再狭窄をきたし,左右PVOに対してそれぞれINPACT 6,7 mmを使用した.DCB使用前と比較して治療間隔が4カ月から5カ月に改善したが,その後患児は敗血症のため死亡した. 結語:DCBは先天心疾患に合併する肺静脈狭窄症においても有効な治療法の一つであり,QOL向上に寄与する可能性がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.1184