遠隔モニタリングシステムを利用した心房細動に対するICD不適切作動に関連するリスク因子の検討
植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator;ICD)は心室細動(ventricular fibrillation;VF)などの致死的不整脈に対する有効な治療法であるが,ICDによる不適切作動が生命予後の悪化につながるという報告がされている.不適切作動の原因として心房細動(atrial fibrillation;AF)が知られているが,AFの心拍数や持続時間を用いて,VF検出のための設定心拍数(VF検出ゾーン)の設定を考慮することに注目した報告はない.今回,ICD症例においてAFによる不適切作動のリスク因子について検討した. 当院で遠隔モニタリ...
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Published in | 心臓 Vol. 52; no. 10; pp. 1145 - 1152 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.10.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.52.1145 |
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Summary: | 植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator;ICD)は心室細動(ventricular fibrillation;VF)などの致死的不整脈に対する有効な治療法であるが,ICDによる不適切作動が生命予後の悪化につながるという報告がされている.不適切作動の原因として心房細動(atrial fibrillation;AF)が知られているが,AFの心拍数や持続時間を用いて,VF検出のための設定心拍数(VF検出ゾーン)の設定を考慮することに注目した報告はない.今回,ICD症例においてAFによる不適切作動のリスク因子について検討した. 当院で遠隔モニタリングシステムを利用している403人を対象に,AFが記録された80人(19.8%)をAFによる不適切作動あり群と群に分けて比較した.AFによる不適切作動あり群では,左房径が大きく,以前に12誘導心電図でAFが記録された症例やシングルチャンバーICDの症例が多かった.デバイスで記録されたAFの最大心拍数や平均心拍数,AF時間の割合は不適切作動あり群で高く,またデバイスにおけるVF検出レートとAFの最大心拍数との差であるminimum marginおよび平均心拍数との差であるaverage marginは,不適切作動あり群で小さかった.多変量解析を行うと,シングルチャンバーICDとaverage marginは,AFによる不適切作動の独立したリスク因子であった.さらに,average marginはカットオフ値を21 bpmとすることで,リスク層別化が可能であった. AFによる不適切作動のリスク因子として,average marginは有用な指標であり,21 bpm以下となる場合には積極的なAF治療を検討する必要がある. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.1145 |