哺乳類の能動的低代謝である冬眠から着想を得た臓器保存法の新展開

「はじめに」 肺移植は末期呼吸不全に対する最終的な治療として確立されてきた. 我が国は移植黎明期の肺保存液の開発で世界をリードし, 東北大学が生み出したEP-TU液は, 現在世界で使用されている細胞外液型保存液の基礎となっている. その後, 欧米ではドナー肺体外灌流システム(Ex vivo lung perfusion: EVLP)の実用化もあり, 肺保存は新たな時代を迎えている. 「1. 肺保存液」 肺移植の初期には腎臓, 肝臓で使われていた細胞内液型組成の臓器保存液であるEuroCollins (EC)液やUniversity of Wisconsin (UW)液が用いられていた. 現在は...

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Published inOrgan Biology Vol. 30; no. 2; pp. 077 - 082
Main Authors 渡辺, 有為, 岡田, 克典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2023
日本臓器保存生物医学会
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ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.30.077

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Summary:「はじめに」 肺移植は末期呼吸不全に対する最終的な治療として確立されてきた. 我が国は移植黎明期の肺保存液の開発で世界をリードし, 東北大学が生み出したEP-TU液は, 現在世界で使用されている細胞外液型保存液の基礎となっている. その後, 欧米ではドナー肺体外灌流システム(Ex vivo lung perfusion: EVLP)の実用化もあり, 肺保存は新たな時代を迎えている. 「1. 肺保存液」 肺移植の初期には腎臓, 肝臓で使われていた細胞内液型組成の臓器保存液であるEuroCollins (EC)液やUniversity of Wisconsin (UW)液が用いられていた. 現在は本邦では, 東北大学が開発したEP-TU液と京都大学が開発したET-Kyoto液が使用されている. 欧米ではPerfadexが標準であり, いずれも細胞外液型組成の臓器保存液である.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.30.077