心理的判断決定過程のシステム同定
人が情報を得てから行動を起こすまでの過程、すなわち心理的行動決定過程をシステムで表現できれば、対人関係における相性などの数理的な考察が可能になると考えられる。しかし、脳内で行われる心理的行動決定過程をシステムとして表現し、同定する研究は著者が知る限り存在しない。したがって、本研究では心理的行動決定過程をシステムとして表現し、同定することを目的とする。心理的行動決定は現在の情報、過去からの情報の蓄積、現在の情報の変化率を考慮してなされるものと考えられる。したがって、心理的行動決定過程を比例要素、積分要素、微分要素を並列に配したシステムとして表現した。このシステムにおいて各要素の係数が同定できれば...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S422 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual56.S422 |
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Summary: | 人が情報を得てから行動を起こすまでの過程、すなわち心理的行動決定過程をシステムで表現できれば、対人関係における相性などの数理的な考察が可能になると考えられる。しかし、脳内で行われる心理的行動決定過程をシステムとして表現し、同定する研究は著者が知る限り存在しない。したがって、本研究では心理的行動決定過程をシステムとして表現し、同定することを目的とする。心理的行動決定は現在の情報、過去からの情報の蓄積、現在の情報の変化率を考慮してなされるものと考えられる。したがって、心理的行動決定過程を比例要素、積分要素、微分要素を並列に配したシステムとして表現した。このシステムにおいて各要素の係数が同定できれば心理的行動決定過程の特性が把握できる。本研究では心理的行動決定過程の一例として株式投資を考え、データ入手の条件をそろえるためにそのゲームを考案し、同定システムを構築した。このシステムではゲーム内の日付において昨日と今日の株価の差額を入力、取引した金額を出力として、最小二乗法にて各係数を同定する。 いくつかの同定結果から被検者の心理的行動決定過程の特性が把握できた。ただし本研究では、最小二乗法の計算の際、非線形連立方程式の数値解法であるニュートンの反復法を用いており、初期値や取引額の指定によっては解が求まらないことがある。したがって、円滑に解を求める計算アルゴリズムの構築が今後の課題である。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual56.S422 |