顔面非対称患者の外科的矯正治療に伴う臼歯部歯性補償の長期変化

緒言 上下顎骨に著しい骨格性不調和をみる顎変形症患者では, その程度に応じて種々の歯性の補償を認める. 術前矯正治療によって, これらの歯性の補償を解消することは, 術後の咬合の安定を図る上で, 極めて重要である1, 2). 従来より, 矢状面における骨格性不調和に対する前歯部の歯性の補償機構, および外科的矯正治療に伴う顎態の長期的変化については多くの報告をみる3-8). しかしながら, 前頭面に著しい骨格性不調和を呈する顔面非対称患者についての歯性の補償機構についてはほとんど報告されていない. 日常の臨床で診るように, 片側性交叉咬合を特徴とする顔面非対称患者では9), 特に臼歯部における...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 11 - 20
Main Authors 黒田, 敬之, 本橋, 信義, 重藤, 良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2001
日本顎変形症学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.11.11

Cover

More Information
Summary:緒言 上下顎骨に著しい骨格性不調和をみる顎変形症患者では, その程度に応じて種々の歯性の補償を認める. 術前矯正治療によって, これらの歯性の補償を解消することは, 術後の咬合の安定を図る上で, 極めて重要である1, 2). 従来より, 矢状面における骨格性不調和に対する前歯部の歯性の補償機構, および外科的矯正治療に伴う顎態の長期的変化については多くの報告をみる3-8). しかしながら, 前頭面に著しい骨格性不調和を呈する顔面非対称患者についての歯性の補償機構についてはほとんど報告されていない. 日常の臨床で診るように, 片側性交叉咬合を特徴とする顔面非対称患者では9), 特に臼歯部における歯性の補償機構と外科的矯正治療に伴う長期的変化に, 前頭面に骨格性不調和を伴わない顎変形症患者のそれとはかなり異なる様相を呈することが推測される. 本研究では, 外科的矯正治療を行った顔面非対称患者を研究対象として, (1)前頭面の骨格性不調和に対する臼歯部の歯性補償機構の実態, (2)外科的矯正治療ならびに保定中におけるこれら補償機構の長期的変化について検討することを目的とした.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.11.11