胸椎圧迫骨折を契機に体位変換性の呼吸困難感が増悪した1例

症例は76歳,女性.計3度の胸椎圧迫骨折ののち,徐々に座位時の呼吸困難感を訴えるようになった.このため,次第に日常生活活動度も低下するようになり,呼吸困難の原因精査のため当院入院となった.経胸壁心エコー図検査を施行したところ,仰臥位では明らかな短絡は認められなかったものの,座位時には超音波コントラスト剤による左心系の染影が確認された.卵円孔開存を基礎としたplatypnea-orthodeoxia syndromeが強く疑われたため,引き続き経食道心エコー図検査を施行.座位への体位変換により大きく開大する卵円孔開存の存在が確認され,同部を介した多量のコントラスト剤の左房流入を確認することができ...

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Published in心臓 Vol. 53; no. 10; pp. 1118 - 1123
Main Authors 東堂, 沙紀, 松本, 賢亮, 藤田, 紘, 三和, 圭介, 伊澤, 有, 小林, 成美, 平田, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2021
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は76歳,女性.計3度の胸椎圧迫骨折ののち,徐々に座位時の呼吸困難感を訴えるようになった.このため,次第に日常生活活動度も低下するようになり,呼吸困難の原因精査のため当院入院となった.経胸壁心エコー図検査を施行したところ,仰臥位では明らかな短絡は認められなかったものの,座位時には超音波コントラスト剤による左心系の染影が確認された.卵円孔開存を基礎としたplatypnea-orthodeoxia syndromeが強く疑われたため,引き続き経食道心エコー図検査を施行.座位への体位変換により大きく開大する卵円孔開存の存在が確認され,同部を介した多量のコントラスト剤の左房流入を確認することができた.経皮的卵円孔閉鎖術を実施したところ,術後は呼吸困難および低酸素血症は消失した.本症例は,卵円孔開存の存在に加えて胸椎圧迫骨折を繰り返したことで亀背が進行し,その結果蛇行した大動脈が心房中隔を変形させ,右左短絡が形成されplatypnea-orthodeoxia syndromeを呈するに至ったものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.53.1118