住民健診での眼底撮影における白内障検出の有用性についての検討
「抄録」【目的】特定健康診査(以下住民健診)における眼底撮影は対象基準改正等もあり, 現在は2007年までと比して100分の1にまで減少した. 上天草健康管理センターは眼科疾患の早期発見を目的として, 2022年の住民健診では全受診者に対して眼底撮影を行った. これに伴い精密検査受診票を持参し眼科受診する患者が増加したが, 眼底病変よりも白内障を指摘された受診者が多くみられた. 眼科受診契機となった割合, 検眼所見から住民健診における眼底撮影の有用性について検討した. 【方法】2022年6月から12月までに住民健診を受診した1,928人に無散瞳眼底撮影を行い, 193人が精密検査判定となり受診...
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Published in | 総合健診 Vol. 51; no. 2; pp. 252 - 257 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
10.03.2024
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Summary: | 「抄録」【目的】特定健康診査(以下住民健診)における眼底撮影は対象基準改正等もあり, 現在は2007年までと比して100分の1にまで減少した. 上天草健康管理センターは眼科疾患の早期発見を目的として, 2022年の住民健診では全受診者に対して眼底撮影を行った. これに伴い精密検査受診票を持参し眼科受診する患者が増加したが, 眼底病変よりも白内障を指摘された受診者が多くみられた. 眼科受診契機となった割合, 検眼所見から住民健診における眼底撮影の有用性について検討した. 【方法】2022年6月から12月までに住民健診を受診した1,928人に無散瞳眼底撮影を行い, 193人が精密検査判定となり受診票を郵送した. 受診票を持参し上天草総合病院眼科にて精密検査を行った102人を解析対象とした. 眼科受診歴, 白内障手術計画の有無について診療録より後ろ向きに調査した. 受診歴から初診群および再診群の2群に分けて群間比較を行った.【結果】対象者102人の年齢は73.6±7.7歳(平均±標準偏差), 男性47人(46.1%), 女性55人(53.9%)だった. 精密検査受診者のうち, 当科の受診歴は初診52人(51.0%), 再診50人(49.0%)だった. 初診52人のうち, 他院眼科受診の既往があったのは5人(4.9%)だった. 白内障の診断は71人(有所見率69.6%)だった. 群間比較の結果, 白内障と診断されたのは初診群42例(41.2%), 再診群29例(28.4%), 手術計画件数は初診群20件(38.5%), 再診群8件(16.0%)でともに有意な偏りを認めた(p<0.05:Pearson's カイ二乗検定). 【結論】住民健診における眼底撮影によって白内障の検出の有用性が明らかになった. 特に眼科医療機関の少ないへき地では受療行動に繋がると考え, より効果的であることが示唆された. |
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ISSN: | 1347-0086 |
DOI: | 10.7143/jhep.2023-33 |