肥満を伴う生体腎移植ドナーの短期腎予後

「I. 緒言」肥満では糸球体過剰濾過などを原因として, 病理学的には糸球体肥大や巣状分節性硬化症を呈し, 臨床的には蛋白尿や腎機能障害を生じる肥満関連腎症を発症することがある. そのため肥満の生体腎ドナーでは腎提供後, 糸球体過剰濾過が進行し, 腎機能障害のリスクが上昇することが危惧される. 海外の研究では生体腎ドナーで肥満は腎機能低下のリスクではないという報告や, 逆に肥満は腎機能低下のリスクであるという報告もあり, 一定した見解はない. また, これまで本邦での肥満の生体腎ドナーの詳細な報告はない. 今回われわれは肥満を伴う生体腎ドナーの短期腎予後について後ろ向き観察研究を行った. 「II...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 52; no. 6; pp. 533 - 537
Main Authors 新里, 高広, 木村, 貴明, 清水, 俊洋, 久保, 太郎, 石川, 暢夫, 武藤, 重明, 八木澤, 隆, 南木, 浩二, 黒澤, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2017
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.52.6_533

Cover

More Information
Summary:「I. 緒言」肥満では糸球体過剰濾過などを原因として, 病理学的には糸球体肥大や巣状分節性硬化症を呈し, 臨床的には蛋白尿や腎機能障害を生じる肥満関連腎症を発症することがある. そのため肥満の生体腎ドナーでは腎提供後, 糸球体過剰濾過が進行し, 腎機能障害のリスクが上昇することが危惧される. 海外の研究では生体腎ドナーで肥満は腎機能低下のリスクではないという報告や, 逆に肥満は腎機能低下のリスクであるという報告もあり, 一定した見解はない. また, これまで本邦での肥満の生体腎ドナーの詳細な報告はない. 今回われわれは肥満を伴う生体腎ドナーの短期腎予後について後ろ向き観察研究を行った. 「II. 対象と方法」「1. 対象」2003年4月から2013年7月までの間に自治医科大学附属病院で生体腎ドナーとして腎提供した症例は168例であり, この内3年以上経過を追えた149例を対象とした.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.52.6_533