臨床歩行分析を簡易化する評価システムの開発

超高齢社会に突入した我が国においては,骨関節疾患や脳血管疾患,神経難病等に起因する歩行障害を有する対象者が増加している.歩行障害を呈した対象者が安定した歩行を取り戻すためにはリハビリテーションが必要であり,臨床歩行分析は,Quality Of Life を向上させるための歩行障害に対するリハビリテーションにおける病態理解や,治療効果の確認などにおいて重要な役割を担っている.近年の科学技術の進歩により,臨床歩行分析においても様々な工学的技術が導入されるようになってきた.しかし,これまで開発されてきた歩行分析機器の多くは,導入に高額な費用や,計測のための広い空間が必要となる.また,計測には多くの時...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 47; no. 2; p. 105
Main Authors 村岡, 慶裕, 鈴木, 里砂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2023
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Summary:超高齢社会に突入した我が国においては,骨関節疾患や脳血管疾患,神経難病等に起因する歩行障害を有する対象者が増加している.歩行障害を呈した対象者が安定した歩行を取り戻すためにはリハビリテーションが必要であり,臨床歩行分析は,Quality Of Life を向上させるための歩行障害に対するリハビリテーションにおける病態理解や,治療効果の確認などにおいて重要な役割を担っている.近年の科学技術の進歩により,臨床歩行分析においても様々な工学的技術が導入されるようになってきた.しかし,これまで開発されてきた歩行分析機器の多くは,導入に高額な費用や,計測のための広い空間が必要となる.また,計測には多くの時間や人的負担,専門的な知識が必要とされることから,実際の臨床で日常的な評価ツールとして頻繁に活用されている現場は未だ限られている.このような現状を改善するために,筆者は 20 年程前から藤田保健衛生大学(当時)や村山医療センター,早稲田大学において,臨床歩行分析を簡易化するシステムの開発に関与してきた.本稿においては,これらのシステムについて述べる.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.47.2_105