硬化療法が奏功した出血性静脈拡張冠の2例

症例1は19年前に左下肢静脈瘤手術既往のある70歳代女性で,トイレ中に左足首が急に膨らんで,内顆下部より噴出する出血を認め救急病院受診し局所圧迫止血処置を受けたのち,当科を受診した.CEAP分類C1, 2r, 4c, s, Ep, Asp, Pr, GSVb, GAVと診断した.症例2は14年前に右下肢静脈瘤手術既往のある60歳代女性で,入浴中に右内顆下部から突然の出血を認め,タオルで圧迫止血して翌日当科を受診した.CEAP分類C1, 2r, 4a, c, s, Ep, Adp, Pr, POPV, CPVと診断した.両例とも圧迫止血後フォーム硬化療法を施行し軽快した.いずれも穿通枝不全を伴う...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in静脈学 Vol. 33; no. 1; pp. 47 - 52
Main Authors 戸島, 雅宏, 田上, 杏菜, 松原, 有佳子, 平井, 千恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 14.06.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.22-7

Cover

More Information
Summary:症例1は19年前に左下肢静脈瘤手術既往のある70歳代女性で,トイレ中に左足首が急に膨らんで,内顆下部より噴出する出血を認め救急病院受診し局所圧迫止血処置を受けたのち,当科を受診した.CEAP分類C1, 2r, 4c, s, Ep, Asp, Pr, GSVb, GAVと診断した.症例2は14年前に右下肢静脈瘤手術既往のある60歳代女性で,入浴中に右内顆下部から突然の出血を認め,タオルで圧迫止血して翌日当科を受診した.CEAP分類C1, 2r, 4a, c, s, Ep, Adp, Pr, POPV, CPVと診断した.両例とも圧迫止血後フォーム硬化療法を施行し軽快した.いずれも穿通枝不全を伴うGrade 2の静脈拡張冠を呈し,トイレあるいは入浴による静脈圧亢進,静脈拡張が誘因となって出血を来したものと推測された.静脈拡張冠は静脈疾患の進行した病態であるとの認識が必要である.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.22-7