ペースメーカー移植後も長期にわたり心拍応答を伴う接合部調律を認めた洞不全症候群の1例

症例は53歳, 男性. 2008年, 徐脈指摘され精査目的で当院紹介. 安静時の心電図で接合部調律を認めたものの, 失神や著明な運動耐容能の低下症状はなかった. 心臓電気生理学的検査で洞不全の診断, また, 心拡大, 脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide;BNP)の上昇が認められたことから, 徐脈に伴う心不全と判断しペースメーカーの移植を行った. 移植直後のエルゴメータによる運動負荷試験で50Wを超えた頃から接合部調律へ切り替わり, 以後, 負荷が強くなるに従い, 心拍応答を認め110拍/分程度まで上昇を認めた. 心拍応答を伴う接合部調律のため, 運動...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 12; pp. 1536 - 1541
Main Authors 白石, 裕一, 畔柳, 彰, 白山, 武司, 丸山, 尚樹, 大野, 和則, 中村, 猛, 山野, 哲弘, 松室, 明義, 沢田, 尚久, 松原, 弘明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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Summary:症例は53歳, 男性. 2008年, 徐脈指摘され精査目的で当院紹介. 安静時の心電図で接合部調律を認めたものの, 失神や著明な運動耐容能の低下症状はなかった. 心臓電気生理学的検査で洞不全の診断, また, 心拡大, 脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide;BNP)の上昇が認められたことから, 徐脈に伴う心不全と判断しペースメーカーの移植を行った. 移植直後のエルゴメータによる運動負荷試験で50Wを超えた頃から接合部調律へ切り替わり, 以後, 負荷が強くなるに従い, 心拍応答を認め110拍/分程度まで上昇を認めた. 心拍応答を伴う接合部調律のため, 運動耐容能の低下を認めなかったと考えられた. 以後, DDDR 60/130の設定で退院. 心房ペーシング, 心室感知が100%で推移した. 移植2年後に再度, 運動負荷試験を行ったところ, 前回と同様, 接合部調律に移行し110拍/分程度まで心拍応答を認めた. 一般に接合部調律は, 十分な心拍応答を伴わないとされているが, 本例のように運動時の心拍上昇を認め, また, ペースメーカー移植後も2年間安定して速い接合部調律がみられる稀な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1536