健診肺ヘリカルCTにおける冠動脈石灰化について
「抄録」【目的】当院人間ドックでは年間約2,400件の肺ヘルカルCTを施行している. 肺疾患精査が目的だが, CT機器の精度向上に伴い, 冠動脈石灰化を多く確認するようになった. 冠動脈石灰化を偶発病変として要精密検査と判定し, 石灰化を認める症例において冠動脈有意狭窄の有無や, リスク因子について検討した. 【対象】2019年1月から同年12月の間に, 当院ドックで肺ヘルカルCTを施行した2,426名. 【方法】1)以下を評価項目とし, 冠動脈石灰化の有無で評価した. 性別, 年齢, 喫煙の有無, Brinkman指数, BMI, 内臓脂肪面積. 高血圧, 糖尿病, 高脂血症の有無. 血圧測...
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Published in | 総合健診 Vol. 49; no. 2; pp. 299 - 307 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
10.03.2022
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Summary: | 「抄録」【目的】当院人間ドックでは年間約2,400件の肺ヘルカルCTを施行している. 肺疾患精査が目的だが, CT機器の精度向上に伴い, 冠動脈石灰化を多く確認するようになった. 冠動脈石灰化を偶発病変として要精密検査と判定し, 石灰化を認める症例において冠動脈有意狭窄の有無や, リスク因子について検討した. 【対象】2019年1月から同年12月の間に, 当院ドックで肺ヘルカルCTを施行した2,426名. 【方法】1)以下を評価項目とし, 冠動脈石灰化の有無で評価した. 性別, 年齢, 喫煙の有無, Brinkman指数, BMI, 内臓脂肪面積. 高血圧, 糖尿病, 高脂血症の有無. 血圧測定値, HbA1c, LDL-C, 中性脂肪, HDL-C, eGFRの検査値. 2)健診後に医療機関受診を確認できた症例で, 冠動脈造影CTまたは冠動脈造影検査(CAG)のいずれかを行なった「非PCI群」と, 経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行した「PCI群」で, 同評価項目に有意差があるかを検討した. 【結果】1)肺ヘルカルCTは2,426名に行い, 冠動脈石灰化を296名(12%)に認めた. 2)冠動脈石灰化を有する群は, 有しない群に比べ, eGFRを除く評価項目で有意差を認めた. 3)冠動脈石灰化を有した296名中80名の医療機関受診と検査結果を確認できた. 受診後検査で80名中34名は冠動脈造影CTのみ, 46名はCAGを施行し, 16名(0.7%)にPCIが施行された. 4)「PCI群」は「非PCI群」と比較し, 糖尿病の有病者が有意に多かった. 【結語】冠動脈石灰化を認める群は, eGFRを除き冠危険因子の保有率が有意に高かった. 冠動脈石灰化を認める糖尿病有病者は, PCI適応となる冠動脈狭窄を認める率が有意に高かった. 冠動脈石灰化は, 小石灰化でも有意狭窄を認める症例があり, 健診時の評価項目のみでは判別困難のため, 未精査の場合は専門医療機関での評価が必要と思われた. |
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ISSN: | 1347-0086 |
DOI: | 10.7143/jhep.2021-26 |