骨盤うっ滞症候群8例の治療経験
骨盤うっ滞症候群は骨盤,腹部,背部の慢性的な鈍痛,非典型的な下肢静脈瘤,再発を繰り返す下肢静脈瘤や下肢痛などを呈する症候群である.その原因の多くは左卵巣静脈の逆流であると言われている.左卵巣静脈の逆流を伴う骨盤うっ滞症候群8例についての治療経験を報告する.【症例】2008年から2020年に当科で治療した女性8例.34–64歳(平均46.5歳).【治療】下肢または陰部静脈瘤に対してはEVLAと硬化療法で治療し,7例に左卵巣静脈コイル塞栓術を施行した.【結果】1例はEVLAと硬化療法で症状軽快を得た.7例のコイル塞栓術後,4例に卵巣静脈逆流の残存または再発を認めた.そのうち1例は症状再発にて再度左...
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Published in | 静脈学 Vol. 34; no. 3; pp. 351 - 356 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本静脈学会
10.08.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0915-7395 2186-5523 |
DOI | 10.7134/phlebol.23-5 |
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Summary: | 骨盤うっ滞症候群は骨盤,腹部,背部の慢性的な鈍痛,非典型的な下肢静脈瘤,再発を繰り返す下肢静脈瘤や下肢痛などを呈する症候群である.その原因の多くは左卵巣静脈の逆流であると言われている.左卵巣静脈の逆流を伴う骨盤うっ滞症候群8例についての治療経験を報告する.【症例】2008年から2020年に当科で治療した女性8例.34–64歳(平均46.5歳).【治療】下肢または陰部静脈瘤に対してはEVLAと硬化療法で治療し,7例に左卵巣静脈コイル塞栓術を施行した.【結果】1例はEVLAと硬化療法で症状軽快を得た.7例のコイル塞栓術後,4例に卵巣静脈逆流の残存または再発を認めた.そのうち1例は症状再発にて再度左卵巣静脈のコイル塞栓術を施行した.再施行の1例を含め,全例に症状の軽快を認めた.コイル塞栓術による合併症や症状の増悪は認めなかった.【結語】卵巣静脈コイル塞栓術は重篤な合併症が少なく,症状の改善に有効である. |
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ISSN: | 0915-7395 2186-5523 |
DOI: | 10.7134/phlebol.23-5 |