検診上部消化管造影検査における重篤な偶発症対策とその検討

当健康管理センターでの上部消化管造影検査数は年間約1万件である。重篤な偶発症を起こさない為に検査終了後のバリウム排泄における対策が重要であるが、当院では2022年に消化管穿孔の偶発症例が2例発生し緊急手術となった。このことを契機に新規対策の導入および既存対策の変更を行った。この対策による効果について、上部消化管造影検査を受けた検診受診者にアンケート調査を実施し検討した。結果はバリウムによる造影検査直後の水 500mLでの下剤飲用は排泄時間を早めていた。粘度の検証ではバリウム粘度が消化管内で約10分の1から16分の1まで低下すると推測され、便を硬化させず、排泄のしやすさに関与していると考えられる...

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Published in総合健診 Vol. 52; no. 2; pp. 377 - 383
Main Authors 北山, 貴章, 横田, 龍士, 若杉, 侑, 奥田, 圭二, 本間, 聡起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.03.2025
日本総合健診医学会
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Summary:当健康管理センターでの上部消化管造影検査数は年間約1万件である。重篤な偶発症を起こさない為に検査終了後のバリウム排泄における対策が重要であるが、当院では2022年に消化管穿孔の偶発症例が2例発生し緊急手術となった。このことを契機に新規対策の導入および既存対策の変更を行った。この対策による効果について、上部消化管造影検査を受けた検診受診者にアンケート調査を実施し検討した。結果はバリウムによる造影検査直後の水 500mLでの下剤飲用は排泄時間を早めていた。粘度の検証ではバリウム粘度が消化管内で約10分の1から16分の1まで低下すると推測され、便を硬化させず、排泄のしやすさに関与していると考えられる。また、受診者に下剤飲用、水分摂取、食事の仕方などを詳細に説明することが大切になるが、これには他部門との協力が不可欠である。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.2024-25