小児肝移植患者における新型コロナウイルス感染の現状と治療

我々は,2005年11月から2022年12月に当院で小児肝移植を施行し,現在フォロー中の708名を対象として,SARS-CoV-2感染状況,治療および免疫抑制剤の管理について後方視的に検討した.肝移植後にCOVID-19陽性となった症例数は125症例,および肝移植術中に感染が判明したのは1症例であった.感染時期は2022年1月以降に119例(95.2%)認めており,第6波以降急激に増加していた.124症例(99.2%)が重症度は無症状もしくは軽症であり,人工呼吸管理を必要とする症例は認めなかった.SARS-CoV-2感染後,免疫抑制剤の調整をおこなった1例において,感染判明から14日後に拒絶反...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inOrgan Biology Vol. 30; no. 2; pp. 105 - 111
Main Authors 船木, 孝則, 清水, 誠一, 福田, 晃也, 庄司, 健介, 山田, 全毅, 大宜見, 力, 小峰, 竜二, 栁, 佑典, 阪本, 靖介, 上遠野, 雅美, 児玉, 匡, 中里, 弥生, 笠原, 群生, 中尾, 俊雅, 内田, 孟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2023
日本臓器保存生物医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.30.105

Cover

More Information
Summary:我々は,2005年11月から2022年12月に当院で小児肝移植を施行し,現在フォロー中の708名を対象として,SARS-CoV-2感染状況,治療および免疫抑制剤の管理について後方視的に検討した.肝移植後にCOVID-19陽性となった症例数は125症例,および肝移植術中に感染が判明したのは1症例であった.感染時期は2022年1月以降に119例(95.2%)認めており,第6波以降急激に増加していた.124症例(99.2%)が重症度は無症状もしくは軽症であり,人工呼吸管理を必要とする症例は認めなかった.SARS-CoV-2感染後,免疫抑制剤の調整をおこなった1例において,感染判明から14日後に拒絶反応を認めステロイドパルス療法を行った.肝移植後にCOVID-19に罹患した小児肝移植患者において,免疫抑制剤を適切に調整することによりCOVID-19の重症化は認めなかったが,免疫抑制剤調整にて拒絶反応を誘発させないように十分注意する必要がある.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.30.105